エコロジカル・フットプリントとは?|持続可能な地球環境を考えるための基礎知識

今回は「エコロジカルフットプリント」という言葉について考えてみます。

エコロジカルフットプリント

人間活動が1年間に環境に与える負荷を、資源の再生産及び廃棄物の浄化に必要な面積として示した数値

少し難しいですね・・・

 

エコロジカル・フットプリントを直訳すると、「人間が踏みつけにした地球環境の足跡」を意味します。

その意味から、人間が生活を維持するのに必要な一人当たりの面積を表したものです。

 

「私は畳一畳あれば生きていけるよ」

そうおっしゃる方もおられるかもしれませんが、そういうわけにはいきません。

人間は生きていくうえで野菜や肉を食べます。その野菜を育てるためには農地が必要です。また、食べた肉(牛や豚など)が育つまでに必要な牧草を植える牧草地も必要となります。

さらに、人間生活では二酸化炭素(CO2)を排出します。火を使ったり自動車に乗ったり現代人の生活では非常に多くのCO2を排出しますので、これらを吸収して浄化する森林の面積も必要になります。

これらを合算し、一人が消費する面積を数値で現したのがエコロジカルフットプリント(EF値)です。

 

私たち日本人のEF値は1人あたり「4.4ha(44,000㎡)」だと言われています。

ピンとこないかもしれませんが、東京ドームが4.7haなので、だいたい東京ドーム1個分の面積を日本人1人が1年間生活するために必要としているのです。これは象一頭の消費面積を上回ります。

日本のEF値に人口をかけると約5.8億haとなり、国土面積の15倍以上になります。(国土面積は、3,779万ha)

仮に象が1億頭以上日本の狭い土地に住んでいたとしたら、日本中の土地を食べつくしますよね。

私たち日本人は国土面積を完全にオーバーシュートしていることになります。

EF値は先進国ほど多くなり、アメリカでは「9.6ha/人」となります。

逆に低所得国では数値が低くなる傾向にあり、1.0haを下回る国もたくさんあります。

世界平均は「2.2ha/人」と言われています。

これは何を意味するのでしょう?・・

 

世界平均のEF値「2.2ha」に総人口をかけると、現在の消費活動は地球1.5個分の陸地面積におよび「地球1個分の土地で生産可能な資源を使いすぎている」ことになります。つまり、毎年、地球0.5個分の資源を使いすぎているということです。

このオーバーシュートした0.5個分の消費は過去からの資源を食いつぶすことと、将来必要となるはずの資源を「先借り」してしまっているわけです。

また、このままの状態が続くと20年後には地球2個分の資源を消費すると言われています。

これが続けば未来には資源不足になることが目に見えています。植物が育つ(再生産される)速度より消費する速度が速ければ育てる土地が足りなくなるわけです。

それらの対策として、植物工場の建設、つまり土地の高度利用化やカーボンオフセットへの取り組みが活発化しているわけです。

 

しかし、先進国では非常に多くの土地を使用しているのに後進国ではその十分の一にも満たない現状があります。

つまり「贅沢な暮らしほどたくさんの土地を消費する」。言い換えれば質素な暮らしであれば身の丈以上の多くの土地を消費せず暮らすことも可能なわけです。

いかがでしょうか?

一度味わった贅沢な暮らしを大きく変えるのはなかなか難しいかもしれません。

でも、このような知識を持った人が少しでも節約してくれて無駄をなくすよう心掛けて暮らし、また、その考えが多くの人に広まれば「地球一個分」の暮らしができるのではないでしょうか?