バイオフィリックデザイン
長いコロナ禍を経て働き方やライフスタイルも大きな変化をもたらしました。
そのうちのひとつとして、キャンプブームなどを発端とした自然回帰や緑への関心の高まりがあると思います。そんな中、自然と触れ合うことで健康や幸福感の高まりをもたらす「バイオフィリア」や、その概念を空間づくりに取り入れた「バイオフィリックデザイン」が注目されています。
自然と切り離された都市空間に緑を取り入れ、オフィスでの生産性や創造性の向上に役立てようという動きが国内外の企業で活発化しています。
バイオフィリア
バイオフィリアとはバイオ(生物、自然、生命)とフィリア(愛着、友愛)を組み合わせた造語です。アメリカの生物学者「エドワード・O・ウィルソン」らによって提唱された、「人間は、自然や他の生物と繋がることで健康や幸福感が本能的に高まる」という考え方です。
この考え方を元に作られた空間デザインが「バイオフィリックデザイン」です。
特にオフィス空間にバイオフィリックデザインを導入することで、実際に生産性や創造性の向上が認められはじめ、世界の最先端企業での導入が次々と進んでいます。
実際の企業への導入事例
「アップル」
アメリカのシリコンバレーにあるアップルの本社オフィス、通称「アップルパーク」が有名です。森に囲まれた円盤状のオフィス「アップルパーク」の建造は、亡きアップルの創業者「スティーブ・ジョブズ」の最後のビッグプロジェクトといわれており、ジョブズの最も重要な指示は、81万平方メートルある敷地の80%を緑地にする。
というものだったと言われています。
「グーグル」
グーグルもバイオフィリックデザインを早くにオフィスに取り入れた企業の一つです。
世界中にあるグーグルのオフィスはそのほとんどの場所でバイオフィリックデザインが採用されています。
「アマゾン」
アメリカシアトルにあるアマゾンの新本社、通称「アマゾンスフィア」も有名なバイオフィリックデザインオフィスです。
ビル街の中心に作られた球体上のオフィスの内部は植物で埋め尽くされ、まさにその名の通り「アマゾン」さながらです。
「エヌビディア」
現在、時価総額ランキング世界第三位の半導体メーカー「エヌビディア」の本社、通称「ボイジャー」は、「自然と人工物の境界を無くす」というバイオフィリックデザインの象徴のような、内と外の境界のあいまいなデザインのオフィスです。
まとめ
最先端の大企業を中心にバイオフィリックデザインの導入が進んでいます。その理由としては、導入コストや維持管理費を上回るだけの従業員の生産性の向上や健康へのメリットがあるとわかってきているからです。しかし、一般家庭や資金力の少ない事業者が室内に自然を再現することはなかなか容易ではありません。
先ずは、休日に森に行ってみるなどして自然に触れる機会を増やし、自然環境が自分自身の身体にどんな影響を与えるかを知ってみることから始めてみてはいかがでしょうか?