先週まで、ブダペスト世界陸上が開催され連日熱戦が繰り広げられました。
TVで観戦された方も多いと思います。
そんななか、8月21日大会会場で世界陸連が異例の会見を開いたのをご存じでしょうか。
「50~100年後には、我々の国はもう存在しない」
出席したのは、地球温暖化に「最も脆弱な国たち」の代表者5人。ツバル陸連のニオネ・エリウタ事務局長は、世界各国の記者に語りかけるように自国の状況を説明しました。南太平洋の小さな島国で、平均海抜1.5mのこの国は海面上昇により“沈みゆく国”と呼ばれています。
バヌアツ陸連のアントワン・ブディエール会長は
「人類の未来は、今日の我々が何をするかにかかっている」
と訴えました。
海面上昇
地球温暖化の影響で、世界では海面上昇が深刻化しており、その上昇の速度は1901~71年は平均で年1.3ミリでしたが、1971~2006年は年1.9ミリになり、さらに2013~22年は年4.5ミリになって年々加速していると言われています。
1971~2018年の海面上昇の要因の半分は温暖化による海水の熱膨張でしたが、06~18年は氷床や氷河の融解が主な要因になっていると言われています。
南極では年間平均1500億トンの氷塊が、グリーンランドでは同2700億トンの氷塊がそれぞれ失われていると言われています。
2023年7月は世界の平均気温が観測史上最高の月になり、国連のグテーレス事務総長は
「地球温暖化の時代は終わり、“地球沸騰”の時代が到来した」
と危機感を訴えました。
2015年の「パリ協定」では、世界の平均気温の上昇を産業革命前に比べて、1.5℃ に抑えるよう努力することを目標に掲げ各国は気温上昇をこの数値以下に保つ「努力を続ける」ことで合意しています。
1.5℃の重要性
この1.5℃という数値は「ティッピングポイント」(転換点)と呼ばれており、このレベルを超えると気候システムが不可逆的 (再び元の状態に戻れない) に大規模な変化を起こすと言われています。
産業革命前に比べて地球の平均気温の上昇値が 1.5℃を超えてしまうと、温暖化が連鎖的におき、 そこからの気温上昇が抑えられなくなります。 長期間の熱波や、これまでよりも激しい嵐や森林火災など、温暖化の弊害がさらに大きくなると言われています。
この 「後戻りできない状況」に陥るとその後に、たとえ人類が温室効果ガスの排出を止め、 ※ネットゼロを達成しても気温は上昇し続けます。
これは何としても1.5℃以上の上昇を止めなければなりません!
1.5℃の目標を達成した場合と最悪のシナリオを比較したのが次のグラフです。
1.5℃を越えると加速度的に気温上昇が進むのが見て取れると思います。
また、最悪のシナリオで進んだ場合、海面上昇は2100年までに1メートルにも達すると予測しています。
もし海面が1メートル上昇すると日本の砂浜の9割は水没します。大阪では、北西部から堺市にかけての海岸線は、ほぼ水没します。東京でも、堤防などを高くするなどの対策をとらなければ、江東区、墨田区、江戸川区、葛飾区のほぼ全域が影響を受けます。
残された時間は少ない
現時点ですでに世界の気温は産業革命前に比べて 1.2℃上昇しています。
転換点となる1.5℃を越えない為に出来ることは何でしょうか?
温室効果ガス(CO2)の排出量の削減
1) 太陽光や風力エネルギーなどの再生可能エネルギーへの切り替え
2) 森林などの生態系の保護と修復 (CO2の吸収)
3) 気候変動に配慮した農業や食料生産
4) エネルギー効率化・省エネ
個人が何かを始めて温室効果ガスの削減に寄与できることはほんの少しかもしれません。でも、その輪が大きくなり多くの人が関われば大きな変化を生めるかもしれません。
先ずは知ることから始めましょう。
このブログ記事を読んで今の地球の状況を初めて知られた読者の方は、ぜひこの記事の内容を広めてくれると嬉しいです。
子供たちが安心して過ごせる未来のために。
森林保護と温室効果ガスの排出量の削減に全力で取り組み※ネットゼロを目指しませんか?
※ネットゼロ・・大気中に排出される温室効果ガスと大気中から除去される温室効果ガスが同量でバランスが取れている状況。つまり「温室効果ガスの排出が正味ゼロ」を意味する。
出典)温室効果ガスインベントリオフィス/全国地球温暖化防止活動推進センターウェブサイト(https://www.jccca.org/)より